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にしにっぽんシティぎんこうほんてん
西日本シティ銀行本店
Head Office of Nishi-nippon City Bank
Nishi-nippon City Bank
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DATA
建物名:西日本シティ銀行本店
旧名称:福岡シティ銀行本店
設計者:磯崎新/磯崎新アトリエ (ISOZAKI Arata)
所在地:福岡県福岡市博多区博多駅前3-1-1
用途:銀行
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
竣工:1971年
交通:JR博多駅・地下鉄博多駅で下車
周辺地図(Mapionへのリンク)

福岡市の銀行建築といえば、黒川紀章の福岡銀行本店と磯崎新の西日本シティ銀行本店※1 がよく知られるところです。さらに近県では長崎県佐世保市にある白井晟一の親和銀行本店も見逃せません。
銀行のそれも本店となれば‘信用’だとか地域経済の‘象徴’といった意味を表現することが(普通は)求められる分、一般的なオフィスビルに比べてデザインの余地は十分にあります。つまり建築家にとって腕を振るう絶好のチャンスなわけで、現にこれらの銀行建築は各人の代表作と目されています。黒川の黒い福岡銀行、磯崎の赤い福岡シティ銀行、白井の白い(ちょっと強引か?)親和銀行。3人の建築家の作品を見比べるのも一興でしょう。

※1:以前は福岡シティ銀行という名称で書籍でもそのように紹介されていましたが、2004年10月1日付をもって西日本銀行と合併して西日本シティ銀行に変わりました。また、磯崎の古い作品集ではさらに昔の名前である福岡相互銀行という名称で載っています。このページに掲載している画像は合併前の撮影なので壁面のサインは福岡シティ銀行のままです。

Nishi-nippon City Bank01 Nishi-nippon City Bank02
01 02
01 JR博多駅を出ると真っ先に目に付く赤茶色の外壁は、ガラス張りのオフィスビルが建ち並ぶ中ではひときわ目立ちます。素材はインド砂岩、ただし前面の低層部など一部には赤味がかった御影石も用いられています。
さて、この外観はどう捉えたらよいでしょう? 古典的にも見えますしメカニカルで未来的にも見えます。いろんな部品を寄せ集めたように見えて、それなりにまとまっているようにも見えます。つまり「つかみどころがない」のです。こういうデザイン操作にかけてはさすがに上手いですね、磯崎さんは。
02 低層部の上階にはガラスの大開口面があります。見た目はカッコいいけど空調負荷は高そう。いつもカーテンが閉まっています。上層部は奥行きがあまりなくて、まるで装丁の良いハードカバーの本が立っているかのようです。
オフィスビルとしての機能上は、細長いフロアは間仕切り壁で分けにくいので好ましくありません。つまり貸しビルにしたり他社に売却することなど全く想定されていないのです。建設当時の銀行経営の自信の程が窺い知れます。

Nishi-nippon City Bank03 Nishi-nippon City Bank04
03 04
03  裏側には公園があるので引いた位置から全体像を見ることができます(樹木はその公園のもの)。
04 近寄って見たところ。裏側の低層部は駐車場。ボリューム感を抑えるために縞模様を入れるのはよくある手法ですが、確かにこれがないと鈍重な印象になったでしょう。左奥の突出したボリュームは後年の増築のようです。

Nishi-nippon City Bank05 Nishi-nippon City Bank06
05 06
05,06 表側に戻って、柱と梁からなる低層部を側面から見たところ。梁といっても意匠的な意味合いが強く、端部のデザインは空調機器を思わせます。

Nishi-nippon City Bank07 Nishi-nippon City Bank08
07 08
07 異様なまでに太い柱。もちろん構造上こんな太い断面が必要なわけではなく、意図的にフカしています。部分を見るとアンバランスに思えますが、画像01・09のように全体的に見ると調和がとれていることが分かります。
08 赤が基調の外観に‘白一点’として挿入された大理石張りのメインエントランス。ただし、ほとんどの人は博多駅側の端部(画像05)から出入りしており、このエントランスはほとんど象徴的な存在です。

Nishi-nippon City Bank09 Nishi-nippon City Bank10
09 10
09,10 ライトアップされると砂岩の壁がいっそう際立ち、無機質なオフィスビルが建ち並ぶ博多駅前の街並みにまるで神殿のような存在感を漂わせています。前述の太い柱や梁が基壇のように見えることも古典的イメージの形成に結びついています。
ただし、あくまでも古典的であって本当の古典ではありません。にもかかわらず歴史や風格すら感じさせるデザインは、まさにポストモダン建築の好例と言えます。

この建築で特筆すべきは石の使い方の巧さです。基本的にはインド砂岩と御影石を使いながら、御影石も赤味の強弱や表面処理を変えて使い分けています。日本人建築家でここまで自在に石を使いこなせるのは磯崎新の他にはほとんどいません。彼に並ぶのは白井晟一くらいか。
例えば、エントランスホールだけ石材で仕上げているビルやマンションをよく見かけますが、それらで上手に石を使った例は滅多にありません。元来、木造を伝統とする日本では設計者が石を使いこなせないのは仕方ないのかもしれませんが…。

参考文献: 最終更新日:2004年10月1日
作成日:2003年5月17日
撮影時期:2002年10月(右記以外)、2003年5月(画像05,08)、2004年5月(画像09)、同年8月(画像10)
作成者:タケ(旧名 tks )(blogmail

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