
リバーウォークきたきゅうしゅう
リバーウォーク北九州
Riverwalk Kitakyusyu 
リバーウォーク北九州は店舗・映画館・劇場・美術館・放送局・事務所を有する大型複合施設です。基本デザインはアメリカのジョン・ジャーディ。実は彼は福岡市のキャナルシティ博多(
炉煽庵編、
Atsushi編)も手掛けています。基本設計者が同じで都心の川沿いの大型複合施設でしかも同じ県の二大都市に建っていると何かと共通点が多いだけに、ここはやはり両者を比較しながら述べてみたいと思います。
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キャナルシティが中州の歓楽街のすぐ近くに立地しているのに対し、リバーウォークの周辺は緑豊かな公園が広がる中に小倉城をはじめ市役所や市民会館、
図書館などの公共施設が点在する良好な環境です。すぐ横を流れる紫川はリバーウォークの名前の通り親水空間として整備されています。
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市役所最上階の展望室からの眺め。小倉城の目の前に天守閣を圧倒するスケールでカラフルな造形物が林立しています。小倉城とリバーウォーク、そして遠くに見えるのは工業地帯と、北九州市の変遷がよく分かる光景です。
キャナルシティはいろんな色を織り交ぜたケバケバしい色彩ですが、リバーウォークは基本的に一つのボリュームに一つの色が割り当てられており、それぞれに意味が込められています。それにしてもこの規模の建物に黄色とは思い切ったことを! また、内部の各用途とボリュームは(必ずしも対応しているわけではありませんが)おおむね区別ができます。つまりどこに何があるか把握し易いようにデザインされていると言えます。
リバーウォークは北九州市の歴史的シンボルの景観を一変させました。当然ながらこのデザインには市民の間に賛否両論があります。しかしリバーウォークの開業後、今のところ店舗の売り上げや来客数が予想以上に順調に推移していることから、建設中は戸惑いを覚えていた市民も大多数は好意的に受け入れているようです。これには開業前に北九州市内の大型商業施設が相次いで閉店したことが背景にあると思います。つまり結局は経済的に成功するか否かが最大の問題となるのです。
歴史や文化よりもカネか、と思ってしまうところですが、ここで小倉城の天守閣は本当の歴史的建造物ではないと指摘しておく必要があります。かつての小倉城は1837年に焼失。現在の姿は1959年に鉄筋コンクリート造で再建されたもので、建築学的に正確な復元ではありません。率直に言って歴史的価値は無いのです。精神的な歴史の連続性まで否定するつもりはありませんが、しかしイミテーションを守るよりも、時代の移り変わりと共に風景も変わる方が都市にとって自然だと私は思います。少なくとも今回の場合は。
3次元CADソフトの使い方を覚えた学生の卒業設計みたいだな、というのが私の第一印象。プリミティブ・オブジェクトを並べてブーリアン演算を適当に繰り返したような感じ。
このような分節化には建物の大きさが与える圧迫感を抑える狙いがあります。例えばキャナルシティや
京都駅も形や壁面に分節化がなされていますが、それでも長大な壁による圧迫感は否定できません。しかしこのような分棟にするとある程度は抑えることができます(それでも個々のボリュームはかなり大きいのだが)。
とはいえ、実は反対側には長大な壁面が建っていて、形態操作がなされているのは小倉城側だけです。これはつまり設計者がそれなりに小倉城に対して敬意を払っている表れと見て取れます。
画像05の水面は小倉城のお堀です。河川ではありません。
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河川の対岸、画像01よりも右側からの眺め。左手の高層ビルは北九州市役所※1です。鉄とガラスの直方体はミース・ファン・デル・ローエとアメリカの合理的な資本主義が生み出したモダニズム建築。21世紀にその目と鼻の先に出現したのはアメリカのグローバリズムとコマーシャリズムが生み出したテーマパーク建築。建築は時代を写す鏡だと実感しますね。
小倉城に向けて開放的であっても川に対しては高層棟の壁が面しているせいか閉じた印象を受けます。他県から来た友人も「リバーウォークじゃない」と言ってました。リバーウォークにキャナルシティ、そして
博多リバレインと福岡・北九州市の3施設はどれも川辺に建っていて川を意識した名前が付いていますが、実際に川に開いて建物内部から川の存在を感じさせるものはありません。
もっともリバーウォークについては、北九州市が進める紫川整備事業の一環でもあることから、建物への行き帰りに川辺を歩いて他の場所へも行ってほしいというのが本当の意味です(リバーウォーク公式サイト参照)。
ちなみに、ジョン・ジャーディはキャナルシティの基本設計の初期段階では実際に河川を内部に引き込むつもりでしたが、法的に無理なのであきらめたようです。それに、もし河川が増水したら最下階は浸水しますしね ※2 。
※1:設計:久米設計、竣工:1972年
※2: ふと思ったのだが、
TIME'S(安藤忠雄、京都市)の最下階って浸水しないのだろうか?
画像08以降は内部の様子。08・09のふたつは球や円錐をくり抜いたようなかなり求心性の高い空間です。特に09は一部が小倉城に向けて開いており、求心性と開放性を両立した空間には感心しました(ここから外部を見たのが画像13参照)。
ただし、色をひとつに抑えた点は空間を純粋に味わうことができてよいのですが、キャナルシティの同様の空間、あの赤くて派手な広場と比較するとイベントスペースとしての祝祭性が足りない感じがします。
様々な形態を寄せ集めた構成から、その隙間には面白い空間が発生しています。画像10の空間は、ヨーロッパの都市の路地を歩いていると不意に現れるちょっとした広場に通じるものがありますね。もっとも、高さが全然違いますが。
キャナルシティは運河(という名の水たまり)を商業棟とホテル棟が挟んだ構成のため、複雑そうに見えながら実は商業棟は片廊下型の建物に過ぎません。一方、リバーウォークは分棟の低層部に商業ゾーンが展開しているため、通路や店舗内から他の店舗が次々と見えるというふうに、視線が交錯する空間構成になっています。
キャナルシティが極めて閉鎖的なのはすぐ間近に風俗店やラブホテルが建ち並んでいるからで、仕方ありません。これに対してリバーウォークは小倉城と緑地に面する絶好の立地条件にあるため、棟の隙間や至る所に設けられた開口部、飲食店の窓から小倉城を望むことができるような工夫がなされています。本来は下から見上げるはずの天守閣が水平方向に見えるのは、いささか違和感がありますが…。まあしかし、それを言うなら市役所なんて上から見下ろしているわけですし。
小倉の歴史に配慮と言えば聞こえはいいのですが、当の小倉城が本物ではない以上、冷めた見方をするならばテーマパーク的商業空間から見えるそれはディズニーランドのお城と根本的には同じかもしれません。
参考文献:
関連サイト:
最終更新日:2005年3月13日
作成日:2003年11月10日
撮影時期:2003年9月
作成者:タケ(旧名 tks )(
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