
さわだマンション
沢田マンション
Sawada Apartment 
11,12 バルコニーは共用廊下も兼ねています。昔の長屋の路地風というか、洗濯機や物干し竿などが置かれて生活感に溢れる廊下です。玄関ドアもありますが掃き出し窓から直接出入りできます。つまり廊下から室内は丸見えです。
これは専門的にはリビングアクセスという平面構成で、居間と廊下をほぼ直接的につなげて入居者同士の密な関係の発生を意図する設計です。一般のマンションではほとんど採用されていません。昔の公団住宅等で実験的な例※2 があるほかは、建築家が設計した集合住宅でたまに見る程度でしょうか。
建築計画の講義を受けたわけでもなく独自にリビングアクセスに思い至った沢田さんは建築家としてもかなりのセンスの持ち主といえます。
※2:葛西クリーンタウン(住宅・都市整備公団(現・都市基盤整備公団)、東京都、1983)、八潮ハイツ(日本勤労者住宅協会、東京都、1984)
13,14 建物の前面には1階から3階まで自動車も通行可能な大きなスロープが伸びています。普通の階段もありますが高齢者も上り下りしやすいようにと後になって付けられました。思いつきで適当に建てているように見えながら実はかなり機能的です。
15,16 スロープを上ると建物を貫通する車路があり、ここを抜けて裏側にあるスロープで5階まで車が直接上れるようになっています。ル・コルビュジエでさえ(構想としてはともかく)実際にこれほど大胆なスロープは造っていないでしょう。これこそまさに「住むための機械」!
なお、この貫通部分は以前は住戸だった部分を撤去したもの。沢田さんは一切の図面を描かずに頭の中のイメージだけで工事を進めています。いちおう全体像はあるらしいのですが臨機応変に改築する場合もあります。
17 16のスロープの下にあるバルコニー兼共用廊下。裏側のバルコニーは各階とも中央にグレーチング(鋼製の格子)が設けられています。排水と採光の為と思います。
18 裏側の外壁。
建物も建築主もたいへん個性的でここではとてもすべて語り尽くせません。「沢田マンション物語」に詳しく書いてありますので興味のある方はお読み下さい。
白い外壁色やコンクリートの力強い造形、ピロティ、大胆なスロープ、屋上庭園といったデザインはル・コルビュジェを思わせます。また積極的な緑化や、経済効率よりも人間の自由意志を尊重するデザインからはウィーンのフンデルトヴァッサー・ハウス(
taniyan版、
タケ版)が思い浮かびます。
モダニズムと自由な精神が見事に融合した類い希な手作りマンション。多くの人にとって高知はちょっと遠い場所でしょうが、ぜひ実物を見て沢田夫妻の建築への情熱を感じてほしいと思います。
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参考文献:
- 「沢田マンション物語」(古庄弘枝、情報センター出版局)
- 「建築グルメマップ4 中国・四国を歩こう!」179頁、文章のみ、写真なし(宮本和義+建築知識編集部、エクスナレッジ)
- 「珍日本紀行 西日本編」960頁、ちくま文庫(都築響一、筑摩書房)
- 「セルフビルド集合住宅・沢田マンション 建設の経緯と建築的特徴」(東京理科大大学院、加賀谷哲朗・初見学・真野洋介、日本建築学会大会学術講演梗概集2002年E-2分冊205頁)
- 「沢田マンション超一級資料」(加賀谷哲朗、築地書館)
関連サイト:
最終更新日:2005年3月16日
作成日:2002年10月20日
撮影時期:2002年9月
作成者:タケ(旧名 tks )(
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