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ちくごがわしょうかいきょう
筑後川昇開橋
Chikugo River Lift Bridge
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DATA
建物名: 筑後川昇開橋
旧名称: 国鉄佐賀線筑後川橋梁
設計者: 橋梁=稲葉権兵衛(いなばごんべい)/旧鉄道省大臣官房研究所
昇開機構=坂本種芳(さかもとたねよし)/旧鉄道省工作局
所在地: 佐賀県佐賀市諸富町大字為重、福岡県大川市大字小保
用途: 橋(当初=鉄道橋、現在=歩道橋)
構造: 鉄骨造(可動橋としての構造は昇開式)
竣工: 1935(昭和10)年
備考: 重要文化財
交通: 車=九州自動車道八女ICで降りる > 国道442号線 > 国道208号線 > 大川橋交差点左折

佐賀県と福岡県に広がる筑紫平野を流れる筑後川に、昇開式可動橋 ※1 という珍しい構造の橋が架かっています。広々とした景観の中にそびえ立つ2本の赤いタワーは実に魅力的で、地域のランドマーク的存在となっています。また、現存する数少ない可動橋であり貴重な近代化遺産でもあります。

陸路の交通網は発展途上で水運が盛んだった昭和初期、新たに国鉄佐賀線 ※2 を通すため筑後川に橋を架けることになりました。しかし、普通の橋では当時の帆かけ船が通過する際に帆柱が橋桁に接触してしまいます。そこで、橋桁が上下に移動する昇開橋が建設されたのです。かつては水路と陸路が共存する手段としてこのような可動橋がいくつも存在したといいます。しかし、交通の主役が自動車に移るにつれて水運の需要は減り、ついに国鉄佐賀線が廃止されて役目を終えた昇開橋は取り壊しの危機にさらされます。この時、地元の人々が保存運動に立ち上がり、昇開橋は両岸の地元自治体 ※3 に譲渡されて生き延びることができました。


※1:昇降式と記述するサイトもあります。学術的には昇開式が正式な名称です。

※2:佐賀駅(佐賀県)と瀬高駅(福岡県)を結ぶ路線。鹿児島本線と長崎本線の短絡線として1935(昭和10)年に開通するも赤字ローカル線から脱却できず1987(昭和62)年に廃止。余談ですが、かつて鉄道省は朝鮮半島まで朝鮮海峡海底トンネルを通す計画を立てていて、佐賀線はこれに先立って開通した路線らしいです。しかし、調査の測線上に潜水艦が沈没して海軍から中止を命じられたり戦争の激化により計画は中断したとのこと。「九州鉄道の記憶」91頁および「日本国有鉄道百年史」第11巻267頁参照。

※3:この橋は佐賀と福岡の県境にありますが、元は国鉄佐賀線の線路だったことから、サイト管理の便宜上、佐賀県インデックスに登録しました。


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昇開橋がある場所は有明海の河口に近いので河幅はけっこう広くなっています。ですから橋の大部分は橋脚に橋桁が架かる普通の構造で、昇開式は中央の1スパンだけです。とはいうものの高さ30mの2本の赤いタワーは遠くからでもよく目立ちます。

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完成から約70年が経過していた今も、長さ24m、重さ48tの橋桁は可動状態を維持しています。譲り受けた地元両自治体は線路を撤去して歩行者専用橋として整備して、1日に数回、動かしているのです。ただし、橋桁に接触するような船舶が通過しない以上、実用的には昇開の必要はないので現役とは言い難く、動態保存とみなすのが適当です。

下の画像は橋桁が上昇する様子です。橋桁がゆっくり上昇する様子を見ていると時間の流れの違いをしみじみと感じました。私達はどこかに移動するとき、一般にスピードや所要時間を最も重視します。少しでも早く/速く目的地に到着するため、多額の費用を投じて山を切り開いて新幹線や高速道路を建設したり、普段の車の運転でもアクセルを踏み込んだり。

モータリゼーションの発達と鉄道合理化の過程で本来の役割を失った昇開橋。橋桁がゆっくり昇降するときの駆動音は、ハイスピードの現代社会に対する抗議のように聞こえました。もっとも、昇開橋が建設された当時は交通網の近代化の一環だったわけですから、このような考えは感傷的すぎるのかもしれません。



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リベットだらけの無骨な姿が昔の土木構造物の雰囲気を伝えています。今後、年数が経つにつれてメンテナンスはますます面倒になるでしょうが、末永く大切に保存してほしいものです。
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※4:実は佐賀線にはもうひとつ可動橋がありました。筑後川昇開橋からほど近い花宗川に架かっていて構造は跳開式(橋桁が遮断機のように動く、いわゆる跳ね橋)です。廃線後、河川の護岸工事に伴い撤去されてしまいました。「九州の鉄道100年」216頁および「鉄道廃線跡を歩くVII」181頁(写真あり)参照。


参考文献
関連サイト

最終更新日:2007年4月22日
作成日:2004年8月15日
撮影時期:2003年11月、06のみ2006年12月
作成者:タケ(旧名 tks )(blogmail

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