





なお,この建物は普段は関係者以外立ち入り禁止ですが,オープンハウスの日は一般公開されます。詳しくはこちらをお読みください。

かつてのロンドンでは高さ111mのセントポール大聖堂(St Paul's Cathedral,Christopher Wren,1711)より高い建物は建てないとのルールがありました。しかし,戦後の経済発展の中でオフィスビルの需要に応えるためにはこれを守ってばかりもおれず,1960年代以降,ロンドンにも超高層ビルが建ち始めます。下の画像はテート モダンの最上階にあるカフェからの眺め。これでもセントポール大聖堂の周囲はまだ景観が保護されているのです。手前の橋はこれまたフォスターが設計したミレニアム ブリッジ。ガーキンはもっと右手に位置します。

ニューヨークや東京に比べると,ロンドンの超高層ビルは単体とスカイラインのどちらにしても見るべき魅力に乏しいことは否めません。そんな状態にフォスターが設計した二棟のビルは大きな変化を及ぼしました。特にガーキンの方は超高層なだけに市民の間に景観論争を巻き起こし,独特の形状はグロテスクとの批判も浴びたようです。
しかし,グロテスクという声はおそらく完成予想CGか何かを見た第一印象だったのではないでしょうか。本物を実際に見たところ,意外にもなかなかいいじゃないかと私は感じました。上の階ほど先細りになっている形状は建物のボリューム感の低減に効果があり,街並みに与える威圧感は一般的な矩形のビルよりもかなり低く抑えられています。
ガラスの色が異なっている部分は,これに沿って吹き抜けがあることを示しています。渦巻き状の吹き抜けは,ビル全体の換気を促して空調負荷の低減に効果があるとのこと。一見,奇異に思える形状は,威圧感の抑制や省エネ効果をはじめ,ビル風の低減,日影範囲の減少,内部空間の無柱化を実現する合理性に裏付けられているのです。超高層ビルの設計でユニークな形を提案する建築家は何人もおれども,形と理屈をこれほど高いレベルで融合させるとは,さすがはフォスター卿と感心するしかありません。まあ,ちょっと汚れが目立つのが残念ではありますが【03】。
すぐ近くにはロイズ オブ ロンドンや古い教会も建っています。【04】の右側に見えるのはロイズの例の露出エレベーターです。このようにハイテクと古い街並みが混在する景観こそロンドンの魅力ですね。
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