





ヨーロッパの都市では複数のターミナル駅が市街地を取り囲むような形で建っています。特にロンドンは,いち早く鉄道が開業したイギリスにおける鉄道網の中心なだけに,壮麗なゴシック様式のステーションホテルを備えたセント パンクラス駅(2004年時点で改修工事中)やリバプール ストリート駅,ウォータールー駅(ユーロスターの発着駅はこの駅に併設),『ハリー ポッター』で有名になったキングズ クロス駅など,特徴的な駅がいくつもあります。各駅は地下鉄で結ばれていますので駅舎巡りをしてみるのも一興です。

【左セント パンクラス駅 右キングズ クロス駅】
ただし,中には後年の増改築でせっかくの大空間が分断されたり動線が分かりにくくなっている駅もあったりします。その点,このパディントン駅も古い駅ですが,他の駅に比べてコンコース上の構築物が少なく見通しがよいので,ヴォールト構造(カマボコ屋根)の内部空間をじっくりと見学できます。
線路が行き止まりになっている頭端式(JR高松駅を参照)の駅は日本ではあまり目にしません。ですから,空港よりむしろこの種の駅の方が外国の雰囲気を感じますね。さらに,スパン(柱間)の広い大空間によって建築と列車と乗客の一体感が生じています。旅情をかき立てる演出効果は抜群です。
別に頭端式でなくてもホームの上屋を大スパンにすることは可能なはずですが,なぜか日本ではほとんど例がありません。私鉄の頭端式ターミナル駅でわずかに見られる程度でしょうか。日本の鉄道会社(特にJR)は駅ビルの建設には熱心でもホームの上屋にはあまり関心がないようです。しかし駅の本体はデパートではなくホームでしょう。もっとも,ホームの整備ではエレベーター設置などバリアフリー化の工事で手一杯だという事情もあるのでしょうが…。
かつてのグレート ウェスタン鉄道のターミナル駅としてパディントン駅が開業したのは1838年ですが,現在の場所に駅舎ができたのは1854年のこと。鉄骨屋根の設計は,同鉄道会社の技術長ブルネルと建築家ワイヤットの協働です。また併設のステーション ホテルはP.C.ハードウィックの設計で1874年に完成【04】。当初はグレート ウェスタン ホテルとして,現在はヒルトン ロンドン パディントンとして営業しています。
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